2014年6月4日水曜日

僕はお金を払いたくないよ


Thought Criminalsとはオーストラリアで70年代後半から80年代前半に活躍した77KBD Punkの雄だ。彼らは2005年頃にディスコグラフィーがリリースされた事で今では広く認知されているが、同時期にデビューしたScientistsなんかに比べると活動期間が短かった事もあって長い間、知名度の低いバンドだったと思う。そんな彼らのデビュー作7インチはA面がHilton Bomberという当時シドニーのヒルトンホテルで実際に起きた爆破テロ事件についての歌で、B面はI Won't Payという、これまたあまりにも明け透けな内容の歌だ。

I won't pay for Punk Records

俺はパンクのレコードにお金を払いたくないよ…そんな一種呪詛めいた言葉を気の抜けた危なげな演奏に乗せて歌唱している。ストレートなパンクではなく彼らはその影響下のニューウェーブに分類されたりするが細かい事はここでは気にしない。ともかく、僕はそんな「俺はパンクのレコードに金を払いたくない」と表明するパンクのレコードを40豪ドルほどである日買ったのだった。

どんなに好きなものだって、今、喉から手が出るほど欲しくてたまらなかったとしても、できればそれにお金を払わずに手に入れたい。実際のところ、カモみたいな客だとか、なんでこんなもんをこいつは欲しがるんだろうなんて、店主から僕は馬鹿にされてるかもしれない。それでも本当の事を言えば、僕だって1銭もお金を払いたくないよ。

バンド名のソゥトクリミナルズとはすなわち思想犯を意味する。お金を払いたくないよという歌詞は一種のカルチャージャミングを目的としたメッセージである。ビアフラが貧乏人を中性子爆弾で殺せ、これで犯罪率が下がるぞ!と歌ったのと同じだ。しかし、これらは無自覚に誰もが思わず口に出してしまう呪詛なのも事実だ。






Steamで75%offになるまでゲームは買わないよ、バンドル入りするまで買わないよ、思わず口から飛び出してしまう、その言葉の裏には50ドルで買ったゲームが直後に叩き売られていたとか、そんな苦い経験があるのかも知れない。先に裏切ったのは奴ら(売り手)だと、ある人は言うだろう。そうすると今度は中古ゲーム販売に対抗しただけだ!先に裏切ったのは奴らだと相手は返すかもしれない。この世のどこにも聖人なんていない。気がつけば誰もが裏切られて、傷ついたと感じていて、呪詛をつぶやき、何かの価値をそれぞれが結果的に叩き落とそうとしている、等しくすべてが自分自身にも圧し掛かるというのに。

10年前リテール販売が荒野になった韓国だが、そこでビデオゲームが絶滅したわけではなかった。抗えない荒天の強風も身を任せれば強い追い風になり、ビジネスモデルは根本から覆されるも、競技シーンをショービズ化して取り込むなどのアプローチを交えて結果的に発展することになった。ザ・ロードにおける火を運ぶ者とは、自らの内に火を灯す者の事だ、強い風に当たれば、吹き消されてしまう、そんな か弱い火ではいけない。僕は決して高潔な人間ではない、ただのエゴにまみれたビデオゲーム狂いだ、それでも火を保つ為に地下深くに潜り、石炭を掘るんだ、古今東西のゲームはCoalだ、惜しまずに掘るんだ、内の炎がいつまでも燃え続けるように。

ugh