2012年1月25日水曜日

誰もが愛したクッソ汚い緑の害獣 Dopefish



They Live and We Sleep...


Dopefishをご存知ですか?もしあなたがFPSを愛してやまない往年のPCゲーマーであればきっとこのドギツい緑色をした出っ歯の魚自体か、"Dopefish Lives"のメッセージをどこかで見たことがあるかもしれません。一部で根強い人気を誇るこのハラペコクソ魚はid Softwareがかつてコンピュータ用にリリースした一連のビデオゲーム、Commander Keenシリーズの4作目で初めてお目見えとなりました。


小魚を囮にして食べさせるヤミー。



この時点でドープスはキーンやデンジャラスデイヴなど数あるid作品のキャラクターの一つに過ぎませんでした。しかしドープスの存在は立ち位置を変え始めます、言わずと知れたFPSの金字塔Doomの存在と、そしてドープスのグランパであるTom Hallのid退社です。氏はidの作品に深く携わったコアメンバーの一人でしたがDoomの発売を待たずにidを退社しApogee(3D Realms)へ93年頃には移籍しています。ちなみに氏の退社の主な原因はid内でのメンバー間の不和と言われており、氏がまとめたDoomのキャラクターやバックグラウンド(Doomバイブルと呼ばれるドキュメント)は他のidメンバーの反対によりばっさりと切り捨てられるなど相当な軋轢があったと言われています。


Catacomb 3DWolfenstein 3Dを経て独立ビデオゲーム開発会社の寵児、そしてDoomによってゲーム開発会社の新時代ヒーローとなったid、その元ゲームデザイナーという事でTom Hallはこの頃、既に業界では半ば伝説的人物となっていました。移籍後彼はNARC等の影響を受けた(当時としては)リアルテイストの描写をウリとしたFPS、Rise of the Triadなどに関わっています。で肝心のドープスはどうなったかというと、94年にApogeeからリリースされたWacky Wheelsというマリオカートクローンゲームで突如イースターエッグとして登場したのです。ドープスは元々idのゲーム出身なワケですがでTom Hallの移籍によってApogeeの開発者の誰かが面白がって入れたわけです、まぁこの頃の小規模ゲーム開発会社同士のジョークですかね、寛容な時代です。



おなじみミームの走り。


それに気を良くしたのかどうか知りませんが、Tom HallはApogeeの次のFPS、そう、いわずとしれたDuke Nukem 3Dのサメの敵キャラコンパチでドープスを入れようというアイデアを出します。サメ自体がゲームに実装されるかされないか紆余曲折の後、結局このアイデアは製品版では採用されませんでしたがDopefish LivesというおなじみのメッセージがD3D内で確認できます。ちなみにD3D自体、Tom Hallはあまり深くタッチしておらず、しかもこの時期に氏はApogee自体を退社してしまうのでした…




平面だけどQ1でも生きていた!


Tom Hallと共にApogeeへ渡り歩いたドープスでしたが、次の行き先はグランパとの新天地ではなく、元の我が家であるid Softwareでした。Quakeのシークレットとして壁にあの原色魚のテクスチャがぺたり、「ドープフィッシュは生きている!」平面カエルならぬ平面サカナです。つづけて生意気にQuake2にも肉が削げたゾンビドープスとして再登場。こうなるとドープスはTom Hallのキャラクタ、Apogeeのキャラクタ、でもやっぱりidのキャラクタ!?その存在の境界は曖昧になりコンピュータゲームのミームと化すのは時間の問題でした。





ミヤモトさんにパクつくクッソ汚い害獣3D


ゲロゲロ360度シューティングDescent3やDukeイズムの影響を感じさせるSinなど、各ゲームのイースターエッグとして登場。グランパがIon Stormへ移籍すると、グランパと同じく元idの伝説的ゲームデザイナーJohn Romeroによる歴史的大作Daikatanaでは遂に3Dモデルとしてゲームへ登場を果たします、おめでとうドープス!



とても元気そうな原色クソ魚


その後もドープスは誰にも縛られず、自由気ままにビデオゲーム界を泳いでいます…詳しくは(めんどくさいので)WikipediaのDopefish項目をご覧ください、有志によるドープス出没リストが掲載されています。idに縁のある作品以外にも世界中のゲームで登場していることが分かるでしょう。また最近はMODといったファンコミュニティ主導のアマチュアゲームによく出没しているのが興味深いですね。ゲーム内ポスターとしてかなり目立った配置がされているMax PayneにしてもFinal Realityによってデモシーンから会社を立ち上げたハッカー系開発者を擁するRemedyの作品ですし、ドープスの足取りからも分かるように、ビデオゲーム開発者のある種インディー魂とでも言いましょうか、誰にも縛られない自由なゲーム作りを連想させるアイコンとなっているのかもしれませんね。グランパの手を離れてドープスは今後も世界中のビデオゲームで生き続けるのかもしれません、熱いビデオゲーム開発者がいる限り。



関連:
dopefish.com(殆どここからの拝借記事)
tomtomtom.com(グランパのブログ)
The Easter Egg Archive(イースターエッグまとめサイト)
Doomを作った男、John Romeroの歩み(idの歩みまとめ)
キルロイ参上(有名な古典的ミーム)

ugh